01.始まりの日







「おはよう、ナマエ!」
「おはよ!元気してた?」
「サクラ、いの!おはよう!」


四月のある日の通学路。
待ち合わせの交差点で携帯を弄っていると、とんと肩を叩かれた。
画面から視線を外して顔を上げれば、待ち合わせ相手であるサクラといのが隣に立っていた。



「ごめんねナマエ、待ったでしょ?」
「ホントごめん!サクラが来るの遅くってぇ!」
「何よ、いのが携帯忘れたとか言うからでしょーが!」
「あたしのせいってーの?デコリーンちゃあん?」
「ええそーよあんたのせいでしょイノブタ!」
「いや、別に私、そんなに待ってないから。朝っぱらから喧嘩しないの!」


喧嘩するほど仲が良い、というやつか。
早速相変わらずの口論を始めた二人の親友を宥め、手を引いて通学路を歩き出した。




私達が通うのは、私立木ノ葉学院。
初等部から大学までのエスカレーター式の学校だ。
現在私の両隣を歩いているサクラといのは、初等部の頃からの親友で、もうかれこれ9年の付き合いになる。




「ていうかナマエ、その制服よく似合ってるじゃないの!」
「うんうん、前のセーラーも良かったけど、こっちも可愛いわねー!」
「えへへ、ありがと。二人も、すごく似合ってるよ!」


うちの学校は、初等部から高等部まで、それぞれ制服が違う。
私達女子は、初等部はイートンジャケットに吊りスカート、中等部はセーラー服、そして高等部はブレザーにチェックのプリーツスカート。
よって今日からは、中学の青色セーラーを卒業して、黒いブレザーが私達の一張羅だ。



そう、今日は入学式。
私達は、今日から高校生になる。











始まりの日